味の素株式会社の財務状況です。
08年までは年率4.3%で成長を続けてきましたが、その後5年間は停滞。12年にカルピス社の株式を売却したことにより13年度には大きく売上高が落ち込みました。(追記:売上高が落ち込んだのは売上計上方法変更の為とご指摘を受けました)
カルピス社株売却により大きく売上高が落ち込みましたが、利益は以前の水準を保っています。
売上高利益率、営業利益率とも引き上げに成功しています。
自己資本比率は60%、流動・当座比率ともに100%を大きく上回っており財務体質は非常にしっかりしています。
ROE、ROAとも一度大きく落ち込みましたが、その後回復傾向にあります。
利益剰余金は継続して増加。
11年をピークに営業CFが減少傾向です。
近年は最終損益が上昇していても営業CFがついてきていません。
国内・海外の食品セグメントが約6割を占めています。
各セグメントの内訳をみると、海外食品セグメントに占めるコンシューマーフーズが一番の柱です。
各セグメントの営業利益率は8%前後。バイオ・ファインのみ2.9%と低い利益率です。
海外食品セグメントが売上高、営業利益ともに伸びており、他のセグメントは横ばい・減少傾向です。
地域別に見ると、日本国内は大きく凹んでいますが、アジアが順調に成長しているようです。
調味料では多くのブランドで国内シェア1位を占めており、うま味調味料に関しては90%以上の高いシェアを占めています。
収益性、安全性に関しては堅実な味の素ですが、成長性に陰りがみえています。アミノ酸を主体とする事業において、原料のもととなる穀物価格の高騰が今後どのように影響してくるのかが心配です。それでも海外事業に関しては順調に成長を続けており、世界的和食ブームにのってグローバル展開を加速していってもらいたいところです。